最近、夢見がちな少女だったころのことをよく思い出す。男なんていう生々しい生物とは無縁で、狭い狭いお庭に閉じ込められていて、かわいいに全てをゆだねていた時代。あのころは、身に纏うものも、口に入れるものも、耳にする音も、全部全部かわいくなければいけなかった。そうじゃなきゃいけないと、なぜか思い込んでいた。生活すべてをかわいいに浸していたかった。そのままでも少女でいられるのに、ガーリーということばの魔法にかかり、そのことばを一心不乱に追いかけていたあのころ。フランス映画を観て、ケーキなんて焼いちゃって、爪をちょこまか細工して、ケータイの向こうのかわいい人たちにあこがれて、あこがれて、馬鹿なくらいあこがれて。あの人たちの生活そのものが欲しかった。だからわたしは真似をしまくって、今思うと本当に馬鹿だなぁ。真似をしたところであの人の生活なんか奪えなくて、それは紛れもなくわたしの生活でしかないのに。でも、そういえばあのころのわたしには恐いものはあまりなくて、ずいぶんと無敵でいれたような気がする。時が過ぎて、汚いものも狡いものもリアルもこの目で見てしまった今のわたしは、色々なものが恐くて、乗り越えられそうにない、と弱気になってしまう夜も多い。暗くてだだっ広い夜の牧場にぽつんと放された羊みたいな気分になる。あのころの、無敵だったあのころのわたしに戻りたくて、きっと昔を思い出してしまうんだろう。ほんものの輝きじゃなかったけど、あのころのわたしは、おもちゃのガラスみたいなもんだけどそれなりにきらきらしていた。ああ、もう一度きらきらしたい。無敵になりたい。やり方が分からないから昔を懐しむことしかできないけれど。神様、どうかもう一度わたしを無敵にしてください。神様、神様。