この街の人たちはどうやらリアルというものに異常にこだわるらしい。やっぱり音楽は生で聴かないと、と語りだす通ぶった人。バイトをしていても瓶ビールじゃなくて生ビールはないの、と何度も聞かれる。生牡蠣。刺身。どっちも大嫌いな食べもの。わたしにはちっとも美味しいなんて思えない。飲み会の席でナマですると全然違うんだよな、って話す同級生。痛々しくて見てられない。痛々しいラブ。そんなタイトルの漫画が確かあった気がする。岡崎京子だっけ?ううん、たしか魚喃キリコ。どうしてみんな生きてるってちゃんと実感しないと居ても立っても居られなくなるのだろう。どうして騒いで、踊って、熱くなりたがるのだろう。どうして愛や情事ついてしか話せないのだろう。わたしは優しくてつめたいものしか愛せない。ひんやりしたシーツ。肌触りのいい下着。夏の夜に吹く風。気の抜けたソーダ水。そんな感じ。

 

眠ることは現実逃避ではなくて呪いを解いて自由になること 感情の外側をピーラーでそおっとむいていくような はだかのこころをさらけ出すのは夜だけがいい。

 

キスとかハグとかセックスに全く興味がなくなってしまって、洗面所に並んで歯を磨くとか、夜中に近所を散歩するとかだけしていたい。